タイムスタンプの役割は?基本的な仕組みや電子帳簿保存法での利用法
近年は経理部門で取り扱う多くの書類が紙媒体から電子データに移行しつつあります。その際、書類の保存方法に関して法律でルールが定められているのを知っていますか?重要な取引情報などが記載された書類は、不正を防止するためにも規程に従って、内容の正確さを証明できる状態で保存しなければなりません。そこで必要となる機能の一つが「タイムスタンプ」です。
本記事では、タイムスタンプの役割や仕組み、電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの必要性まで解説します。また、自社にタイムスタンプを導入する方法までお伝えするため、社内体制の整備を検討されている経理部門の方は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
タイムスタンプの基礎知識
初めに、タイムスタンプに関する基礎知識をご紹介します。タイムスタンプは、国税関係帳簿書類の適切な保存方法を定めた法律「電子帳簿保存法」においても、重要な役割を担っています。まずはタイムスタンプの特性や仕組みをしっかり押さえておきましょう。
タイムスタンプとは
タイムスタンプとは、ある日時に特定の電子データが存在していたこと(=存在証明)や、ある日時以降に電子データの内容に改ざんがないこと(=非改ざん証明)を示す技術です。電子文書にタイムスタンプが付与されることで、データの安全性や信頼性を確認できるようになり、文書に法的効力が生じます。
わかりやすく例えるならば、タイムスタンプには郵便物に付与される消印のような意味合いがあります。郵便局によってハンコが押されることで郵便物に日付と時間帯が刻印され、郵便局で受付された事実やその日時を証明できるようになるでしょう。タイムスタンプも同様に、信頼できる事業者がスタンプを発行することで、存在証明や非改ざん証明ができる仕組みになっているのです。
タイムスタンプには、電子書類の有効性を高めるというメリットもあります。電子書類に付与される証明の一つに、本人による署名であることを証明する(=本人性の証明)ための「電子署名」が挙げられます。通常、電子署名のみが付与された電子書類の有効期限は最長で5年です。それに対して、電子署名に加えてタイムスタンプが付与された電子書類は、有効期限が最長で10年まで延長されます。このように、タイムスタンプを活用することで長期署名を実現できるようになります。
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タイムスタンプの仕組み
先ほど、タイムスタンプを郵便物の消印に例えて解説しましたが、タイムスタンプは物理的なハンコではなく、あくまでデータ上で付与されるものです。電子書類のタイムスタンプは、信頼できる第三者である「時刻認証業務認定事業者(TSA:Time Stamping Authority)」によって付与されます。TSAは、時刻認証業務(タイムビジネス)を行う事業者であり、総務大臣による認定を受けています。
それでは、具体的にどのような仕組みで改ざんがないことを証明するのでしょうか。そもそもタイムスタンプとは、電子データの「ハッシュ値」に時刻情報を付与したものです。ハッシュ値とは、電子データを不規則な文字列に置き換えたもののこと。元のデータに少しでも変更が加えられると、ハッシュ値も変わります。タイムスタンプが付与された電子データは、タイムスタンプに含まれるハッシュ値と現状の電子データのハッシュ値の一致を確認し、その日付以降に改ざんがないと証明する仕組みになっています。
電子帳簿保存法の保存要件におけるタイムスタンプの立ち位置
経理業務でタイムスタンプを利用するシーンの一つに、「電子帳簿保存法」に関わる書類の作成が挙げられます。電子帳簿保存法は、税務関係帳簿書類をデータ保存する際の要件を定めた法律です。対象となる書類の具体例として、請求書・領収書・契約書・見積書・発注書・注文書などが挙げられます。
電子帳簿保存法では、電子データの保存に関して「スキャナ保存」「電子取引」「電子帳簿等保存」という3つの区分が設けられています。それぞれの保存要件にタイムスタンプが必要な場合があるため、事務処理で電子保存する際のルールを確認しておきましょう。
スキャナ保存の場合
「スキャナ保存」とは、書類の原本の代わりに、スキャナで読み取って電子化したスキャン文書を保存することです。紙の請求書や領収書などをスキャナ保存する際、内容の訂正・削除履歴が残るクラウドサービスなどを利用して保存しない場合は、タイムスタンプを付与する必要があります。また、スキャナ保存できる期限もあり、約2か月と7営業日以内に行わなければなりません。
約2か月と7営業日以内に、内容の訂正・削除履歴が残るサービスやシステムで文書管理を実施している場合、タイムスタンプは不要です。
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電子取引の場合
メールやクラウドを経由し、電子ファイルの形式で書類を授受するケースは、「電子取引」に該当します。電子取引の場合は、書類を電子データの状態で保存するよう義務付けられています。
その際、書類の発行者は基本的にタイムスタンプを付与する必要があることを押さえておきましょう。タイムスタンプの付与期限は約2か月と7営業日以内です。ただし、受領者側がデータを自由に改変できないシステムやサービスを利用しているのであれば、タイムスタンプを付与する必要はありません。
電子帳簿等保存の場合
PCと会計ソフトなどを利用して書類をシステム上で作成するケースは「電子帳簿等保存」に該当します。電子帳簿等保存においても原則としてタイムスタンプが必要とされますが、電子帳簿保存法に対応したソフトで作成した書類に関しては、タイムスタンプは不要とされます。
その理由は、電子帳簿保存法に対応したソフトでは内容の訂正・削除履歴が残るためです。社内へ会計システムを導入する際は、法対応についても確認しておくと良いでしょう。
電子帳簿保存法は、社会のデジタル化に伴いますます重要性が高まりつつある法律です。近年も、時代のニーズの変化に合わせて複数回の改正が行われています。その際、初めは義務化されていた保管の要件が、改正後に緩和されるケースも少なくありません。
たとえば、2022(令和4)年1月1日に施行された改正内容では、これまで必須だったタイムスタンプの付与が上記のように要件緩和されました。今後も法改正で要件が変更される可能性があるため注意しておきましょう。
タイムスタンプはどうやって導入することができる?
ここまで解説したように、タイムスタンプは電子帳簿保存法において重要な役割を持っており、経理業務や財務業務の運用になくてはならない機能です。
企業がタイムスタンプを利用するには、大きく分けて2つの利用方法があります。一つは一般財団法人日本データ通信協会に認定されている事業者と契約する方法、もう一つはタイムスタンプを付与できるシステムやツールを導入する方法です。
多くの企業にとって実現のハードルが低く、より利用しやすいのは後者の方法だといえます。電子帳簿保存法に対応したシステムやツールを導入するだけで、タイムスタンプを付与できるようになり、さらにはスキャナ保存の要件も満たすことが可能です。
電子帳簿保存法への対応を視野に入れて、ぜひ法対応と業務効率化に役立つシステムやツールの導入をご検討ください。
タイムスタンプだけではない!電帳法の保存要件に対応したシステムの導入が重要!
タイムスタンプは、電子書類の存在証明や非改ざん証明などを実現する技術です。社内のペーパーレス化へ向けて、経費精算における請求書・領収書の電子帳簿保存法の対応へ取り組む場合は、ぜひ「楽楽精算」にお任せください。
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電子帳簿保存法についてのQ&A
最後に、タイムスタンプに関するよくある質問と回答をご紹介します。
Q1. タイムスタンプと電子署名の違いは?
電子署名とは、本人による署名であること(=本人性の証明)や、署名後の内容に改ざんがないこと(=非改ざん証明)を証明する技術です。認証局(CA)が発行する電子証明書によって証明が行われます。タイムスタンプとは、証明する内容や仕組みに違いがあります。
Q2. タイムスタンプはどうやって付与される?
「楽楽精算」では、以下の手順でタイムスタンプの付与が行われます。画像データのアップロードにより、タイムスタンプの付与が自動化されるため、スムーズな文書管理を実現していただけます。
ステップ1. タイムスタンプを付与したい書類をスキャン、もしくは撮影する
ステップ2. 画像データを「楽楽精算」にアップロードする
ステップ3. タイムスタンプが自動的に付与される
Q3. タイムスタンプが付与されるまでの流れは?
タイムスタンプは、以下の流れで付与および証明が行われます。
①要求:利用者が電子書類のハッシュ値を生成してTSAに送信する
②発行:TSAがタイムスタンプを発行して利用者に送信する
③検証:タイムスタンプと電子書類のハッシュ値を比較して改ざんがないことを証明する
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